骨造成時に使用する骨の種類
骨造成時に使用される骨補填材は下記の4種に大別されます。
1.自家骨
2.同種他家骨
3.異種他家骨
4.人工骨(合成骨)
自家骨
歯科インプラントの骨造成時に用いられる最も一般的な方法は自分の骨を採取し移植する方法です。自分の骨を移植するということは異物反応もおきず、最適な骨の構成成分を含むため骨再生には有利になります。骨は部位によって異なりますが、約80%がリン酸カルシウムなどの無機質成分で、約20%がコラーゲンなどの有機質成分です。これらがバランス良く含まれていることによって良好な骨再生が得られるのです。
造成する範囲が小さければ、移植部位周囲から骨を採取することも可能ですが、範囲が大きいと下顎枝前縁(下顎の親知らずが生えている部位の後方)、下顎骨体部(下顎6、7番目の歯の頬側の骨)やオトガイ部(下顎前歯の下)などから採取することが一般的です。そのため、移植する部位とは別に採取部位にメスをいれる必要があります。
上野歯科医院では骨採取の際、周囲の血管・神経を障害しないように歯科用CTによる術前診断を行います。また、採取の際に切削ブレが少なく、周囲の軟組織に損傷を与えにくい超音波切削器を用いています。
骨欠損範囲が大きい部位に自家骨のみで骨造成を行う場合、お口の中から採取できる骨だけでは足りないこともあります。その場合は全身管理のできる大学病院や総合病院などにご紹介致します。
異種他家骨、人工骨
自家骨移植は生体親和性が高く、骨再生が得られやすいという利点がありますが、別に採取部位を求めなければならない(傷口が増える)という欠点もあります。
そのため、近年欧米において同種他家骨、異種他家骨、人工骨などが用いられることが多くなってきました。国内では歯周病領域、嚢胞腫瘍摘出後の再建にウシ由来骨ミネラルやリン酸塩・カルシウム塩を合成・焼結したハイドロキシアパタイトやTCP(リン酸三カルシウム)などが厚生労働省の承認をうけています。インプラント領域では1種類のハイドロキシアパタイトのみ限定的な承認を受けている状況です。国内で承認を受けている補填材料はタンパク質などの有機成分を含みません。タンパク質の中に骨細胞への分化を促進する因子が含まれているため、人工骨のみでは骨再生は自家骨に比べ不利になります。こうした欠点を補うため人工材料を持ちる際は自家骨と混合し使用することが推奨されています。